大妻多摩中学高等学校

【校長室より】Seize Your Dream, Seize the Day

Seize Your Dream, Seize the Day

進路手帳

“ Seize Your Dream ”は「進路手帳」の表紙のタイトルなのでみなさんもよく目にしたことがあると思います。希望の進路に向けて「夢をつかめ」という意味ですね。これと似た表現で“Seize the Day”という表現があります。これは「その日をつかめ」、「いまという時をつかめ」すなわち「いまを生きろ」という意味になります。

今日のコラムは、前回の『森の生活』を書いているときに思い出した映画について書いてみようと思います。

『いまを生きる』(1989)という感動的な学園映画があります。1957年のアメリカ東部のバーモントにある男子全寮制高校を舞台に、英語教師として赴任してきたかつての同校の卒業生ジョン・キーティーが、生徒たちに人生の素晴らしさを教えるというストーリー。彼は自分が生徒だったころに設立したクラブ「デッド・ポエツ・ソサエティ」(Dead Poets Society)を復活させ、生徒たちのやる気を引き出そうとします。このクラブでは生徒たちはホイットマン、へリック、バイロン、フロスト、テニスンなどの「すでに死んだ偉大な詩人たち」の詩を読むことによって生きることの大切さを学んでいきます。この会の合言葉がソローの『森の生活 ウォルデン』の一文、「わたしは人生の真髄をこころゆくまで深く味わい、吸収したかった」(I wanted to live deep and suck out all the marrow of life)なのです。

彼は続けて生徒たちにこう言います。
「いまを生きろ、君たち。とてつもなく素晴らしい人生を送るんだ」(Carpe diem. Seize the day, boys. Make your lives extraordinary.)

キーティーは授業中に Carpe Diem というラテン語をしばしば発しますが、この英訳が“ Seize the Day ”。この言葉から邦題の『いまを生きる』がつけられたと思われますが、映画の原題は Dead Poets Society なのです。キーティが生徒に教える詩はアメリカの国語教科書には頻繁にでてきて、アメリカ人なら子供のころからなじみがあっても、日本では大学の英文科の学生でもなければよくは知らないでしょう。「死んだ詩人の会」と直訳してもどのような映画かわからないので、日本公開に合わせてわかりやすい邦題を考えたのだと思います。よく原題とはまったく違う邦題のついた映画もありますが、20年前の映画でも「ほら、ロビン・ウィリアムズが先生をやってた『いまを生きる』のあの場面覚えてる?」と話し始めると映画の中の彼の授業ぶりが目に浮かぶという具合に、この映画にふさわしい邦題だと思います。厳しい規則に縛られた学校、陸軍士官学校から難関大学であるハーバードに進学させるべく、俳優になりたいという息子の道を阻んで結局は彼を自殺に追いやる父親、キーティの自由な教え方に共感する生徒たち。生徒の死とキーティの退職をもってこの映画は幕を閉じますが、彼の強烈な教え方は生徒たちそれぞれの心の中に残り、彼らを成長させるのです。