大妻多摩中学高等学校

【校長室より】バレンタインデー

バレンタインデー

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生徒会からの要望で、今年からバレンタインデーのチョコレート交換が試験的に認められることになりました。生徒会では各クラスにアンケートをとり、いくつかのルールを設けたうえで職員会議の席で先生方を前にプレゼンを行い、先生方の意見も参考にして、さらに修正を加えたうえで全校生徒会で発表になりました。もともと多摩中高ではお菓子の持ち込みと飲食は禁止されていますが、今回は生徒会が中心になって話し合った結果を先生方に認めてもらう、言い換えれば生徒の皆さんが勝ち取った権利です。権利というと大げさですが、何事をするにも合議制、けじめが大切だということを生徒の皆さんに学んでもらう良い機会になったと思います。

ところでバレンタインデーは、日本では2月14日に学校の友達や先輩、職場の同僚や上司に、特に女性がひそかに好意をもっている男性にチョコを贈る習慣になっているようです。そのために2月に入ると、お菓子メーカーやデパートでは特別にプレゼント用に包装された高価なチョコが大々的に売り出しされます。

そもそもバレンタインデーは、269年にローマ皇帝の命令に反抗したため処刑されたキリスト教の司祭ウァレンティヌスに由来しているという説が有力ですが、そのほかにも諸説あるようです。ローマ皇帝クラウディウス2世が兵士の士気が下がることを理由に恋愛や結婚を禁じたところ、ウァレンティヌスがひそかに結婚式を執り行ったことから皇帝の逆鱗にふれて彼は処刑された、その日が2月14日であり、このことから2月14日が殉教者聖ウァレンティヌス(ヴァレンタイン)の日となり、さらに恋人たちの日になったということです。

ではバレンタインデーは、ほかの国々でも、日本のように学校や職場でチョコを配るなどという習慣があるのでしょうか。確かに欧米でもバレンタインデーにチョコを贈り合うことはあるようですが、学校や職場の友人同士や先輩、上司など、女性が男性に送るというのではなく男女、年齢に関係なく互いにチョコを贈り合ったりするようです。一か月後の3月14日にホワイトデーと称して、チョコをもらった男性が女性にクッキーなどをお返しにあげるという習慣も日本独特です。そのあたりが、バレンタインデーもホワイトデーも日本のお菓子メーカーの陰謀といわれるところかもしれません。本命チョコに義理チョコという発想も日本ならではであり、欧米ではチョコレートと花束というのはよそのお宅を訪問するときの手土産の定番ですが、日本ではこのバレンタインデーのチョコレートが特別の意味をもってしまったようです。

10月31日のハロウィーンも日本ではゾンビの仮装をして繁華街を練り歩く日になってしまいましたが、もともとは魔女や幽霊、黒猫の仮装をして死者の霊を追い払うという古代ケルトの祭りであり、欧米では主に子供たちが仮装をして、かぼちゃをくりぬいて作ったジャコランタンにろうそくの明かりを灯して、‘Trick or Treat’(お菓子をくれないといたずらするぞ)と言いながら家々をまわってお菓子をもらいます。(先祖の霊を迎えるという意味では日本のお盆と似ています。)最近では映画俳優などの趣向を凝らした豪華な仮装やニューヨークのマンハッタンを練り歩くハロウィーンパレードなどが有名ですが、そもそもは子どもたちのためのお祭りです。

ハロウィーンもディズニーランドで大規模に祝われる前はそれほどでもなかったと思うのですが、日本では本来の意味を超えて、本来の宗教的な意味合いは薄れ、チョコやお菓子をやり取りして楽しむだけのイベントになっているのは残念です。みんなで集まって楽しむことはそれ自体悪くはありませんが、歴史的背景を知らないとただただお菓子を食べる日になってしまいます。例えば日本には各地に五穀豊穣を祝う秋祭りやお神輿の伝統があるので、そのような昔からある祭祀が年配者から若者、そして子供たちにきちんと受け継がれていくとよいと思います。