大妻多摩中学高等学校

「6年プロジェクト」シンガポール、オーストラリア現地下見報告(3)

前回記事からの続きです。NUS(National University of Singapore / シンガポール国立大学)で行われた「グローバル・リンク・シンガポール」大会の報告の最終回です。

夕食前のグループ対向ゲーム大会で盛り上がる生徒たち!

夕食前のグループ対向ゲーム大会で盛り上がる生徒たち!

この大会では、国の違う学生が短い時間で打ち解けられるよう、食事の際に色々な工夫がありました。初日の夕食会では、生徒たちが自分の学校や国だけで集団を作らないように分かれてグループにされ、そのグループで食事をとることになっていました。大妻多摩の「お弁当班」に似ていています。また、食事の前にゲーム大会があり、そのグループで競うことになっていました。NUSの学生が司会を務め、英語で上手に会場の雰囲気を盛り上げていました。初めは表情も硬かった生徒達ですが、ゲームで競って大盛り上がりするうちに、次第に打ち解けていきました。もちろん、日本人同士のような仲良しになるわけではありませんが、それも異文化体験です。こういう経験を10代の内にできることは、きっとその後の人生で役立つのではないかと思いました。

 

全生徒の前で民族ダンスを披露するタイの生徒達

全生徒の前で民族ダンスを披露するタイの生徒達

2日目の夕食会では、生徒たちの何人かが自分の国の民族舞踊を全員の前で披露してくれました。私が会場に入ったときには、ポスター・セッションの会場で親しくなった、あのタイの高校生4人が民族衣装を着て踊っていました。アジア情緒たっぷりの曲が会場に流れる中、楽しそうに彼らは踊っていました。踊りの後話しかけると、記念写真を撮ることになり、思わず高校生気分で写真に入りました。もし本校生徒が来年参加するなら、自分のグループにいる生徒が前で踊ったのなら、ぜひ出迎えて “Thank you for your wonderful dance! We’ve enjoyed it.” の一言で良いので、言葉をかけてほしいと思います。一緒にいられる時間は限られているので、親しくなるチャンスは全て活用する積極性と機転が大切です。

踊りの後、記念撮影となりました!

踊りの後、記念撮影となりました!

「オーラル・セッション」で最優秀賞を受けたフィリピンの男子生徒 『バナナの皮の利用』には感動しました!

「オーラル・セッション」で最優秀賞を受けたフィリピンの男子生徒 『バナナの皮の利用』には感動しました!

この夕食会の前に表彰式が行われ、「オーラル・セッション」と「ポスター・セッション」それぞれの部門で上位3つずつの発表に賞が授与されました。どれも印象に残る素晴らしい発表ばかりでした。私が特に感嘆したのは、「オーラル・セッション」の最優秀賞を受賞したフィリピンの男子生徒のプレゼンでした。発表内容は、「多量に捨てられているバナナの皮が、様々な用途に利用できる研究」でした。日本の「もったいない文化」にも通じる研究内容でした。着眼点も素晴らしかったですが、皮の再利用の用途や、その科学的実現性を詳細に調べていることが印象的でした。英語も訛りがあまりなく大変上手で、私は彼のプレゼンに見入ってしまいました。表彰の後、偶然にも彼に声をかける機会があったので、少し話をしました。驚いたのは、私と話すときの彼の英語はかなり訛りの強いものでした。そのとき、彼があのプレゼンのためにどれだけ英語を練習したのかが分かり、私は感動しました。あの流ちょうな英語は練習の賜物だったのでしょう。自分が高校生だったら、きっと「自分ももっと頑張ろう」と励まされたことでしょう。これが、この大会の良さだと思います。参加する生徒は、ぜひ積極的に話してください。他国の同世代の若者から、本当に多くの事を学べます。

マーライオンと並ぶ名所となったマリーナ・ベイ・サンズにも、市内観光の中で訪れます。

マーライオンと並ぶ名所となったマリーナ・ベイ・サンズにも、市内観光の中で訪れます。

キャンパスには、在校生たちの居住ビルがいくつも建てられていました。

キャンパスには、在校生たちの居住ビルがいくつも建てられていました。

シンガポールでの報告の最後に、NUSのことに少しだけ触れます。かつてアジアで1番の大学と言えば、日本の大学(東京大学)でした。しかし今、その座はこのNUS、シンガポール国立大学が占めています。私も初めて訪れて、その広さと充実した設備の先進性、お金のかけ方に圧倒されました。国土は日本と比べるまでもないくらい小さいはずなのに、なぜこの大学はこんなにも広いのだろうと思わされました。大会はNUSの一角にあるU-Town というキャンパスで行われていましたが、ここだけでも驚くほど広かったです。しかも、キャンパスのあちらこちらに高層のレジデンスビル(学生寮ビル)が建っていました。すれ違う在校生も、明らかに多国籍でした。どんなに日本人が勤勉で優秀だと言っても、このような国際的ムードと先進の教育環境の中で英語を媒介にした授業の機会を逃せば、国際的評価が下がっても仕方ないように感じました。日本は国として、時代に合わせた教育環境の整備にもっとお金をかけるべきです。そうでなければ、今後どんどんアジアの新興勢力に追い抜かれていくと思います。そして、日本の優秀な若者たちが海外の大学へ流出する恐れがあります。このことは、2010年にオーストラリアのクィーンズランド大学に留学させていただいた時も感じたことでした。個人的には、もし諸々の条件が許されるならば、日本の大学に入った後で、評価の高い海外の大学で、たとえ1年でも良いので授業を受けることをお勧めします。必ず視野が広がり、物の見方が変わってくると思います。また、積極的なキャンパスライフを過ごせば、世界中に友人のネットワークも構築できます。大妻多摩校生の皆さん、どうでしょうか。皆さんの大学生活はこれからなので、可能性はいくらでも広げられます。進路もグローバルに考える時代ではないかと個人的に思います。

次回は、来年の夏から始める「オーストラリアでのグローバル・キャリア・フィールドワーク」の下見報告です。

英語・国際教育プロジェクトリーダー  伊藤 正彦