大妻多摩中学高等学校

学校朝礼(高校)にて

 おはようございます。ゴールデンウィークも終わりですね。
 慌ただしかった年度はじめの生活を落ち着かせて5月を過ごしましょう。

 母の日

 さて、明日は母の日です。ご家族に日頃の感謝を伝える準備はできていますか?
この学院の心の母といえば大妻コタカ先生です。母の日を機会にコタカ先生がどのような女性だったかエピソードをお話しします。
コタカ先生が皆さんくらいの年齢の頃、時代は家父長的家制度といって男性の家長の力が絶大という時代でした。女性は制度という見えない壁や「女だから」「女のくせに」という言葉で行動が制約されて、身動きとるのが大変だったわけです。しかしコタカ先生はこの壁を何の後ろ盾もなく向学心だけを頼りに乗り越えて東京に出て、「前をゆく人に追いつけ、追い越せ」の精神で懸命に勉強し、工夫と相違をこらして人の役に立つことを実践されました。そんな活動の積み重ねがこの大妻学院を作り上げたわけです。その活躍ぶりは時代を超えてグローバル社会を生きていく皆さんのヒントになるのではないでしょうか。みなさんも国境や言葉という見えない壁を乗り越えて、世界規模での活躍が期待されているわけですから。
 ではコタカ先生はどのようにして難しい時代の中で活躍してきたのでしょう?コタカ先生は女性が社会と関わりを持つことを積極的に後押しした方ですが、同じ時代には他にも女性の地位の向上に貢献した女性がたくさんいました。中には声高に女性解放を叫ぶ活動家もいたようです。でもコタカ先生は力に力をぶつけることはせず、むしろ良妻賢母教育に力を入れました。それは見えない壁の向こう側にいる男性の、「女性には家を守ってもらいたい」という望みを汲むと同時に、子供を産み育てる女性の立場がどんなに責任の重い、大切な役割かということを認識していたからです。家庭を守る女性の役割をしっかりと説いた上でこんな発言もしました。
「婦女子の支配権を握っている父親あるいは夫である人々がもっともっと時勢というものを理解して根本的に男女という障壁を撤廃し、階級を取り去って女子にも男子同等の教育を施して、十分にその天分を発揮させ、互いに隔てなく相信じ相助け、世界の文化に後れをとらないように努力したならば、どれほど愉快にまた幸福に暮らすことができるであろうか。」
 今でこそ当然と思われる主張ですが、当時にあっては視野の広い、勇気の必要な発言だったことでしょう。男性対女性という考え方ではなく、男女それぞれの得意とするところを生かして皆で幸せにという考え方は多くの女性を励ましたと同時に、男性からの賛同をも得ることができたのです。このように、相手の立場に立って物事を考えたうえで自分の意見や考えをしっかりと表現するという行動は、グローバル社会で活躍できる「国際人」を目指す皆さんのお手本といえるでしょう。
 では、「相手の立場に立って物事を考える能力」はどのようにしたら身につくのでしょうか。実は日常生活の中で「はぁ?」とか「イラッ!」とか自分の心が波立った時にこそチャンスがあります。そのような心の動きは、相手の反応が自分の想像とずれたときに起こります。そんな気持ちになったときには、まず深呼吸をしてみましょう。それから落ち着いて相手の立場を想像してみてください。挨拶できない後輩に「なってない!」と腹を立てるよりまず「数か月前まで小学生だった人たちに、先輩である私たち高校生が挨拶を教えてあげなきゃ」とか「まだ私の顔を覚えていないのかもしれないから、私から挨拶して覚えてもらおう」などと思考する回路を作っていくのです。
 次に「自分の意見や考えを表現する」能力を身につけるコツです。身のまわりの出来事に興味をもつとか、一歩踏み出す勇気を持つ等様々考えられますが、私のお勧めは、何かをとことん突き詰めることです。運動でも読書でもお弁当作りでもなんでもいいです。これに関しては誰にも負けないと思えるほど突き詰めてみてください。そして取り組んでいるその事柄の魅力を人に伝えようと心掛けてください。熱い想いは意見を産み、それがやがて自分の主義主張へとつながっていくのです。今の時代、自分の想いを伝える手段は沢山あります。たった一つのことがらであっても、自分の表現を拓くきっかけになることでしょう。
 ちょうど今朝、コタカ先生の肖像画の前に皆さんから贈られたお花が飾られましたね。カーネーションはもちろん、見ているだけで元気になりそうなひまわりもふんだんに使われたアレンジになっていました。皆さんの想いがコタカ先生に届きますように。

主幹:熊谷昌子